前回、公正証書遺言の作成と遺言執行者をお引き受けしたことを書きました。
その数ヶ月後、遺言者である母親が亡くなり、
相続が開始しました。
二男の方からその旨をお聞きし、
時機を見て長男、二男のお二人に集まっていただき
遺言書をお預かりしている旨、また遺言執行者をお引き受けしている旨を
お二方に説明したうえで、
遺言書の記載内容をお二方に読み聞かせました。
その内容は、全ての遺産を二男に相続させるということでしたが、
ご長男も初めは遺言書の内容に特に不満を持った様子はありませんでした。
しかし、ご長男は後から不満を感じ始めたようで
数日後二男の方から、長男の方から「遺留分減殺請求」を行うとの意思表示があったと
連絡をいただきました。
二男の方にはそれを拒否することはできないので、
受け入れざるを得ないと説明し納得してもらいました。
また、後日のために書面で「遺留分減殺請求」の意思表示をしてもらうよう長男に依頼した結果
長男から二男の方宛に「内容証明郵便」で遺留分減殺請求の書面が届きました。
遺言者の遺産は、不動産と預貯金でしたので
当時の民法では、本来であれば不動産も預貯金も遺留分減殺請求の対象となり
不動産の共有状態が生じることになります。
しかし、長男としても使う予定のない不動産の持ち分を共有してもメリットが無いため、
その分の金銭を支払うことで両者の合意が成立しました。
本来であれば、遺言書の内容をそのまま執行すればよいのですが、
やはり、兄弟間の軋轢を残したままにすることは好ましくありませんので、
遺言執行者として、その合意が成立したことで不動産の登記を二男名義に書き換え
それ相当の金銭を長男にお支払いすることで業務を無事終えることができました。
勿論、その旨の「合意書」を作成し、後日のために両者にお渡ししておきました。
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