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2019.08.30 

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配偶者保護のための方策

亡くなった方が生前配偶者に居住用の不動産を生前贈与した場合、
改正前の民法によれば、原則として遺産の前渡しをしたものと扱われるため、
贈与した財産も相続財産とみなされたうえで各相続人の取得額が計算されるようになります。
その結果残された配偶者が取得する遺産は、生前贈与を受けなかった場合と同じになります。
しかし、亡くなった方が配偶者に対し、居住用不動産を生前贈与する目的は、
長期間にわたる結婚生活の中で共同して財産を築いてきた相手に報いるためであるとともに
残された配偶者の老後を保証するためであると考えられます。
この意思に反して、生前贈与した財産を相続財産に持ち戻して遺産分割を行なうと
残された配偶者は他の相続人に代償金の支払い義務が生じることもあり
場合によっては、生前贈与された不動産を売却して清算せざるを得ない事態も生じ、
住む家すら失うような可能性もありかねません。
そこで改正民法では、
遺産分割の際の配偶者保護の制度として
「婚姻期間20年以上の夫婦間での居住用不動産の贈与の制度(持ち戻しの免除の意思表示推定)」
が創設されました。
これにより持ち戻しの免除の意思表示がなかったことが立証されない限り
生前贈与によって取得した財産を相続財産に持ち戻して
遺産分割の際の計算を行わなくて済むことになります。

目次

遺産分割に関する見直し

現行の民法では、被相続人から遺贈や生前贈与により特別の利益を得た相続人がいる場合、相続人間の公平のため、遺産分割時に一旦遺産に持ち戻して、それぞれの相続人の取り分を計算するようになっている。被相続人が生前配偶者と一緒に住んでいる家を配偶者に贈与した場合、その家は原則として遺産に持ち戻されるため、預貯金などの家以外の遺産につき、配偶者が取得できる分が少なくなる。改正法では、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産が遺贈・贈与された場合に限り、遺産分割時にこの持ち戻しの免除を意思表示したものと推定し、原則として遺産に持ち戻す必要が無くなる。この結果配偶者が取得する分が増えるようになる。

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