開業して間もなく、
公正証書遺言作成のを受任したときの話です。
神奈川県のある病院に入院中の方の娘さんから
入院中の方の公正証書遺言の作成依頼をいただきました。
その方は末期がんで急いで遺言書を作成したいとのことでした。
私は土曜日にその病院を訪問して遺言の内容をお聞きし、
翌週の土曜日に一時退院するので
その方のご自宅で公正証書遺言を仕上げると決めました。
ご自宅の近くの公証人さんにお願いし、
ご自宅まで出張していただくよう段取りしました。
そして、3日後の火曜日に遺言書の原稿をまとめて病院を訪問し
遺言者に内容を確認してもらいました。
その時点では言葉もはっきりしており、
症状も進んでいるようには見えませんでした。
しかし、3日後の金曜日娘さんから電話で症状が悪化し
自宅に戻れなくなったと連絡を受け
自筆の遺言書を書いてもらおうと思い
翌日の土曜日病院を訪問し面会したところ
意識もほとんど無い状態で、
とても自力で遺言書を書くことはできませんでした。
そして翌日の日曜日朝に息を引き取ったと娘さんから連絡をいただきました。
最初にお会いした時、
とりあえず自筆で遺言書を書いてもらわなかったことを
今でも悔やんでいます。
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